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【第二番歌・持統天皇|百人一首】

令和2年2月 改稿

天智天皇の御製に続くのは、

第二皇女である持統天皇(じとうてんのう)の御製です。

春すぎて 夏来にけらし 白妙の 

  • 持統天皇の絵札

衣ほすてふ 天の香具山

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よみ

はるすぎて なつきにけらし しろたへの ころもほすちょう あまのかぐやま

現代語訳

春が過ぎて夏が来たよ。天の香具山に純白の衣がほしてあるよ。

解説・鑑賞

二番歌は女性の天皇である持統天皇の御製です。

この歌は夏の到来の喜びと活気強さが伺える歌ですね。

きれいに洗濯された衣が香具山に干され、風になびいている様子が目に浮かびます。

この時代の洗濯は女性たちの仕事で、川の水を使って全て手洗いする時代です。

今より寒かったといわれますので、冬の水面には氷が張り、春には解け、初夏になる頃には、雪解けの川の水が心地よい温度になっていたことでしょう。

夏の到来を待ちわびた女性たちは、いつになく洗濯に精を出したのではないでしょうか。


さて、この歌の解釈も様々で、持統天皇が香具山に干された洗濯ものをみて、

「ああ今年も夏が来たと」読まれた歌である。

または、当時の持統天皇は壮大な規模の宮殿、藤原宮にお住まいであり、外の様子を眺めることはできず、宮殿内からご想像で歌われたという説もあります。

一番歌の父である天智天皇の歌とあわせるならば、天智天皇がござを編まれたように、持統天皇も自らが川で洗濯をされた歌であり、ご自身で洗濯をされた体験を

「川の水が気持ちいいので、衣が真っ白になるまで洗ってしまったよ」

といきいきと歌ったものであるというものです。

最後に出てくる香具山は奈良県の橿原市(かしはらし)の山で、大和三山の一つで立派な山なのだそうです。

洗濯にあけくれる女性たちを、気高く優しく見守っているような雄大さがあるそうです。

持統天皇が洗濯をなさってふと見上げた先に、その凛々しい山の姿を見て

亡き夫の天武天皇の姿に重ね、今日も頑張ってますよ!と慕う愛が込められているのだとか。

衣を女性、香具山を男性に見立てた夫婦愛が歌われているとも言われています。

作者解説

詠み人: 第41代天皇 持統天皇(じとうてんのう)

在位期間:690年2月14日-697年8月22日

持統天皇は日本書紀の最後を飾る天皇様です。

唐の都にならった藤原の宮をつくり、そこに都を移し、父と夫の悲願であった律令政治の基礎を固めた実力派でもあったそうです。

持統天皇は天智天皇の第二皇女で、叔父にあたる天武天皇に嫁がれます。

天武天皇が崩御なされた後、皇太子だった実子の草壁の皇子がなくなったため、自ら即位され、のちに孫の文武天皇へと譲位されます。

持統天皇の時代には日本で初めて「愛国」という文字が使われたそうです。

愛国は持統天皇が一般個人に与えた勅語で使われたそうです。(下記参照)

朱鳥五年(690年)
「朕、その朝を尊び、国を愛い、己を売りて忠を顕せることを嘉とす」
(われ、そのみかどをとうとび、くにをおもい、
おのれをうりてまめなるこころをあらわせることをよみとす)

一平民の大伴部博麻(おおともべのはかま)に声をかけて顕彰されたそうです。

歴代の女性天皇は天皇の座につけるお世継ぎがいない(幼く適齢期を迎えていない等)の間の政務を担うために代わりとして即位されていました。

適齢期を迎えた皇太子が健やかに育てば、その後女性天皇は退位され、天皇の座を譲位し、神代の時代から続く天皇の血筋を守り抜いていたのです。

それは今も現代まで引き継がれております。

まとめ

もしこの歌が夏の到来のみを歌った歌だとし、

持統天皇が宮殿の中できらびやかに過ごすだけの生活を送っているのであるならば、

「ああ暑い夏が来た」で終わってしまいそうな気がします。

しかし、この歌を読むと、

四季の喜びと共に、今を生きている喜びを

「たおやかに」けれど「勇ましく」歌っているように感じます。

これは実際に経験しないと感じることができない感性だと個人的には思っています。

持統天皇は女性でありながら父、夫に劣らない政治力を持った、たくましい天皇です。

個人的には、持統天皇が自ら川へ赴き、洗濯をし、亡き天武天皇を思い、香具山に向かって国のため民のため、また頑張ろうという意気込みが聞こえてきそうな歌だと思います。

強くたくましく生きる女性天皇の姿が垣間見れる一首ではないかと思っています。

和歌を楽しむポイント

和歌の真意は読み手にすべてがゆだねられます。

昔の日本は察するという文化が当たり前でした。

文字・言葉はきっかけをくれる暗号のようなもの。

和歌や言葉の真意はその裏にその先にあります。

それは各々で察するというのが古来の日本の美学です。

どう感じてどう読むかは読んだあなたのこころのままに。

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