百人一首には人物の書かれた絵札と文字だけの札があります。
今回は人物の描かれた絵札についてのお話しです。
描かれた人物、和歌の意味をしらなくても、読めなくても楽しめる百人一首の豆知識をどうぞ
絵札を並べて見てみましょう
絵札とは読み札のことです。
百人一首ですから読み札は百枚あり、そこには様々な人物の絵と和歌が描かれています。
百枚の絵札には同じ絵はありません、百人みんな違った描き方をされています。
どんな人物が描かれている?
主に男性、女性(姫)、髪の毛のない僧侶(坊主)といった人物が描かれています。
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百人一首の中では男性札79人、女性札が21人。
男性の中でも見分けが付きやすい僧侶は13人(蝉丸という頭巾をかぶった僧侶を含む)。
では僧侶以外の男性札をちょっと見比べてみましょう
男性札
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上記三枚の男性札、着ているものは違いますが、同じような人物が描かれていますね。
しかし、着物以外にもちょっとした違いがあるのですが、わかりますか?
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まず、人物の座られているところを見比べてください。
カラフルな台座に座られている人物がいらっしゃいます。
詠み人は天智天皇です。
描かれている台座は繧繝縁(うんげいべり)という最も格の高い畳縁(たたみべり)を使用した台座です。
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この繧繝縁というのは、天皇・三宮(皇后・皇太后・太皇太后)・上皇が用いるものです。
百人一首の中では天皇・上皇のほか、親王・内親王の絵札にもこの台座が描かれており、
他の人物と違い、台座という少し高い位置に座っている構造になっているのです。
あとの二人の男性絵札も見ていきましょう。
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真ん中の人物は手に尺、腰に刀をすえていますね。
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一番右の人物は他の人物と頭にかぶっているものが違いますね。
頭に被っているものを烏帽子(えぼし)と言います。
左と真ん中の詠み人がかぶっている烏帽子を黒冠(青冠)と言います。
その他にも
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矢を背負っている矢五郎、真っすぐな烏帽子をかぶった立烏帽子、それ以外の横烏帽子
といった人物に分けることができます。
(矢五郎は矢を背をっていない人物もいます。冠むりの形が烏帽子と異なっているのが特徴)
女性札
次は女性札を見てみましょう。
女性札は全部で21枚、その中で男性札と同じように台座が描かれている女性札があります。
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持統天皇(左)と式子内親王様(真ん中)です。
天皇として即位された持統天皇と後白河天皇の第3皇女である式子内親王様は、
他の女性札とは異なり、御簾(みす)でしょうか?が描かれています。
高貴な方、特に女性は人に顔を見せないものですからこのように描かれているのでしょうね。
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その他、女性札の姫君たちは着ている着物が華やかですね。
絵札について見ていきましたが、この絵札の違いを楽しむのも百人一首の魅力ではないでしょうか。
絵札を使った遊びがある
百人一首の遊び方は下の句の書かれている取り札を取って遊ぶのが一般的ですが、
絵札を使った遊びもあります。
坊主めくりと、男性の烏帽子の違いを使った色冠(いろかんむり) という絵札遊びです。
遊び方はルールが様々あるので、また別記事でご紹介したいと思います。
絵札からわかること
百人一首の絵札を全部並べてみると、天皇、公家、武官、母、姫、僧侶、 歌人 など、様々な人物の歌が集められている事がわかります。
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百人一首は鎌倉時代の歌人、藤原定家(ふじわらのていか)によって編纂されました。
当時の日本では天皇様と公家たちは他の人たちと身の振り方が異なっていたと思われますが、藤原定家という人物は、天皇だから、僧侶だから、女性だからと区別することなく、歌の善し悪しでこの百人一首を選んでいるということが絵札を並べてわかるのではないでしょうか。
一番歌から百番歌まで順に並べてみてみるのも面白いですよ。
どんな人物だったかなどの詳しくい内容は和歌の説明で書いていきたいと思います。
まとめ
百人一首の読み札は色鮮やかに描かれた人物と和歌からなります。
絵札には様々な人物が描かれていましたが、ただ描かれているだけでなく、人物の位や役職によって持ち物、被り物などに変化をつけ、どういった人物であるかということも絵札の中で表現していました。
和歌の意味など知らなくても、目でみて楽しめる絵札も魅力的な百人一首は奥が深いですね。